ユユユユユ

webエンジニアです

『はだかのゆめ』

早稲田松竹のレイトショーで、『はだかのゆめ』を観た。 孤独な映画だとおもった。家族にとってのつながりと疎外が、いち家族の個性的なモードを超えて普遍性をもつにいたる瞬間は、なかったようにおもう。 ないものを語ってもきりがないことは承知のうえで…

『ゴダールの決別』

早稲田松竹でゴダールの二本立てをみた。二作目は『ゴダールの決別』。 きれいな映画だとおもった。晦渋な台詞回しで満たされているが、全体として叙情的なトーンがある。湖のほとりに舞台をとって、水とひとの関係する描写がおおくあったことが、ロマンチッ…

『ゴダールの探偵』

早稲田松竹でゴダールの二本立てをみた。一本目は『ゴダールの探偵』。 いまいちリズムが合わずにすこし居眠りをしてしまった。烈しい日差しの下をあるいて疲弊していたのかもしれない。 ビリヤードの玉を手づかみで投げるシーンと、机の上に積み上げられた…

任意継続被保険者の資格取得のための申請

会社を辞めた。会社を辞めて最初にしたことは健康保険の資格取得を申請することだった。 健康保険料の支払い方にはふたつの選択肢がある。 国民健康保険に加入する 社会保険を任意継続する 国民健康保険に加入すると保険料がだいたい二倍になるだろうかとど…

安部公房の『榎本武揚』を読んだ

安部公房の『榎本武揚』を読んだ。 いかにも伝記物のような表題があたえられていながら、その実は何重にも入れ子になった証言の織り合わせであって、およそ客観的な叙述というものは意図的に排除されている。歴史を語る言葉とは願望によってフレーミングされ…

『ター』

新宿シネマカリテで『ター』を観た。 ベルリン・フィルの指揮者を取り上げて、ケイト・ブランシェットが秀でた演技をしている映画があるらしい、ということは公開前から聞き知っていたものの、日本公開がはじまったことに気づいたときにはもう上映が縮小され…

Born Creative Festival 2023: Special Concert Side B

池袋の東京芸術劇場にコンサートを聴きにいった。現代音楽の作品の初演を次々に披露するプログラムだった。 5つの作品が発表された。テレビのリモコンを楽器にして、周期性のあるパルスを即興的に変化させる REMOTE ME という作品と、大人と子どもの入り混じ…

七夕のランチ

七夕のランチに阿佐ヶ谷のおさかな食堂にいった。 仕事とはいっさいの関係のない友だちと、晴れた平日の昼にのんびりと定食を食べること。街のご老人たちがひっきりなしに出入りしておのおの好みの定食をあっさりと食べていること。開店直後から繁盛してがや…

マティス展

東京都美術館にマティス展を観に行った。金曜日の夕方に知人らと集まって訪れた。弱くない雨が降っていた。 長命の作家の人生を見通そうとする展示は、およそ40歳にいたるまでの期間を修行時代と位置づけるようにしている。シニャックのように点描を試みたり…

引っ越しの手伝い

週末にパートナーの引っ越しを手伝った。 土曜日。燃えるゴミとして排出するために、本棚が小さな板のあつまりになるまで破壊した。二台のデスクを天板と脚に分解した。腰掛けの脚をのこぎりで解体した。クイーンベッドをバラバラにした。夜はスシローに行っ…

Evernote personal を解約した

7月に年会費の更新がかかる前に Evernote を解約した。 大学生のころから10年以上使い続けているアカウントで、有料会員になったのは4年前のことだった。 Workflowy をもっぱらノートアプリとして使うようになって、 Evernote を使う機会はめっきり減った。 …

『クリード 過去の逆襲』

クリードの第三作を新宿バルト9で観た。 上映がはじまってまだ2週間くらいとおもうのに、各館1日に1回だけの上映、しかもほとんどがレイトショーという状況だった。このままではもうすぐ公開自体が終わってしまうのではないかとあわてた。大好きなシリーズで…

『フランシス・ハ』

ノア・バームバック監督の『フランシス・ハ』を観た。 社会にうまく馴染めない、というほどに悲壮感のあるわけではないけれど、空回りをしてはどこかさみしげなフランシス、27歳を描く。 惨めたらしく過ごしても不思議でないはずの人生が、口から生まれてき…

『リゴレット』

新国立劇場に、『リゴレット』をみにいった。初日の公演であった。 筋書きは救いのない悲劇そのものである。 容貌が醜いからほかに仕事もなく道化師をするリゴレットは、一人娘のジルダをたいせつに愛する父の顔ももつ。彼のあるじにしてのちに敵となるマン…

『ブルー・バイユー』

国籍システムの不備が悪意を持って運用されているという主題設定と問題提起に優れたものがある。 養子として合衆国にやってきて、そこで長く暮らしてきた人間が、手続きの不備をもって「見知らぬ母国」に送り返されるという理不尽さは現存する。人種マイノリ…

『エンジェルス・イン・アメリカ』「ペレストロイカ」

新国立劇場に『エンジェルス・イン・アメリカ』の第二部を観にいった。第一部から二日後の、夕方の上演を観た。 プライアーの前に天使が降りてきて第一部が幕切れとなったあとで、しかし登場人物の誰もまだ恩寵を受けてはいない。そこからどうやって「アメリ…

『エンジェルス・イン・アメリカ』「ミレニアム迫る」

新国立劇場に『エンジェルス・イン・アメリカ』の第一部を観にいった。 1985年。レーガン第二期政権のはじまった年に舞台は置かれる。見かけの景気はよさそうでいて、エイズと精神錯乱がプライベートな話題の中心に居座っている。エイズによって終わる関係、…

『スカイウォーカーの夜明け』

スター・ウォーズの第九作をみた。 ふたたびはじまってしまった物語になんとか決着をつけるために長い因縁を総動員して、それでどうにかこうにか話が終わることになる。観客としても、なんとか付き合いきれたという安堵を持っている。 レイの葛藤の根源は彼…

『最後のジェダイ』

スター・ウォーズの第八作をみた。 いくぶん大味なところと、シリーズのエッセンスを凝縮した部分が混在している。非常に出来が悪い部分がいくつもあったように記憶するいっぽうで、忘れがたい達成として印象を残した部分もおおくある。 優れていた部分。ル…

MET ライブビューイング『ローエングリン』

新宿ピカデリーにメトロポリタン歌劇場で録画された『ローエングリン』のビューイングにおとずれた。 演出はフランソワ・ジラール。この演目を観るのははじめてであったけれど、現代的な味付けをしていることははっきりとわかった。舞台は岩で屋根されていて…

『フォースの覚醒』

スター・ウォーズの第七作をみた。 『ジェダイの帰還』の後日譚を描いて、滅んだはずの帝国と反乱軍(反乱とはなにか)の抗争が続いているということ。「前より強力なデス・スター」という三番煎じのアイデア。老人たちのいくぶん辛気臭いダイアローグ。そう…

『ゴールデン・エイティーズ』

ヒューマントラストシネマ渋谷でやっていた、シャンタル・アケルマン映画祭に行って、 1986年のミュージカル映画を観た。 カラフルで実用的な衣装を着た若い(白人の)女性たちが、美容師の仕事道具をぞんぶんに使いながら歌いまくる予告編を観た。底抜けに…

東京・春・音楽祭「ニュルンベルクのマイスタージンガー」

東京・春・音楽祭の目玉公演のひとつとして、ワーグナーの演奏会形式の上演をみてきた。指揮はマレク・ヤノフスキ。 ニュルンベルクの乙女エファと、前日に街をおとずれた騎士との恋の話である。歌合戦の勝者が乙女を妻にするというルールのもとで、はじめは…

『シスの復讐』

スター・ウォーズの第六作を観た。 避けられない結末に向けて次々と悲劇が起こるさまが、古典の趣をたたえていた。これをシリーズ最良の作品とおいてぼくには異論がない。はじめからおわりまですこしも目を離さずに観て、不満を感じさせる部分もなかった。 …

すごいお医者さんの話

夕方に急にお腹が痛くなり、そう気づいた途端に具合も悪いような気がしはじめた。思い当たる要因はいくつかあった。寝不足、水分不足、不規則な食事など。ひとまず水を飲んで寝ていたら回復して、食欲も戻ったのでその日は早く寝た。 未明にふたたび、強い腹…

東京・春・音楽祭「ベンジャミン・ブリテンの世界V」

日曜日に東京・春・音楽祭のベンジャミン・ブリテンを聴きにいった。会場ははじめての東京藝術大学奏楽堂。 「ベンジャミン・ブリテンの世界V」と題されているのは、この音楽祭でブリテンを取り上げる連続シリーズの五回目にあたるからだという。そしてこの…

『クローンの攻撃』

スター・ウォーズの第五作をみた。監督は引き続きジョージ・ルーカス。 これはあまり好みでなかった。終始沈鬱な雰囲気を発しているのは、アナキンに葛藤があるせいだが、彼は善と悪のあいだで揺れるというよりも、いつも悪のほうに振れていてかろうじて周囲…

『ファントム・メナス』

スター・ウォーズの第四作をみた。ジョージ・ルーカスが第一作以来に監督を執っている。 小学生のころに劇場公開された。映画館に連れてもらいはしなかったけれど、テレビ放送を録画したものを繰り返し観た記憶はある。きっと次作の公開時に放送されたのだと…

『ハン・ソロ』

スター・ウォーズのスピンオフ映画を観た。監督はロン・ハワード。 ブロックバスターのノリに波長があってたのしく鑑賞した。あまり期待せずに観始めたのは『ローグ・ワン』の後味もあってのことだったけれど、こちらは打って変わって最後までスクリーンにひ…

東京・春・音楽祭「ミュージアム・コンサート 毛利文香」

東京・春・音楽祭に、毛利文香さんと景山梨乃さんによるバイオリンとハープのデュオを聴きにいった。 ミュージアム・コンサートと題されていて、会場は国立科学博物館の常設展地下二階。哺乳類の化石の展示室で、天井からは大型海洋生物のおおきな化石を吊り…