ユユユユユ

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美術

燐光群の『わが友、第五福竜丸』をみた

燐光群の新作舞台『わが友、第五福竜丸』を鑑賞した。 ある喫茶店の店主が、彼に店を引き継がせた父の悪友らが、夢の島の捨て船から拾ってきた舵輪を店に飾っている。盲目の女性がおとずれて、この舵輪の特別な力に引き寄せられてやってきたと語る。はやぶさ…

国立近代美術館コレクション展

竹橋の国立近代美術館のコレクション展を観にいった。 彫刻、掛軸、屏風絵、版画、水墨画といった、ぼくがこれまで親しんでこなかったカテゴリから、近代日本の芸術家たちの試みの粋がいちどうに集められて、ぼくは刺激的な時間を過ごした。 ピエール・ボナ…

マティス展

東京都美術館にマティス展を観に行った。金曜日の夕方に知人らと集まって訪れた。弱くない雨が降っていた。 長命の作家の人生を見通そうとする展示は、およそ40歳にいたるまでの期間を修行時代と位置づけるようにしている。シニャックのように点描を試みたり…

『エンジェルス・イン・アメリカ』「ペレストロイカ」

新国立劇場に『エンジェルス・イン・アメリカ』の第二部を観にいった。第一部から二日後の、夕方の上演を観た。 プライアーの前に天使が降りてきて第一部が幕切れとなったあとで、しかし登場人物の誰もまだ恩寵を受けてはいない。そこからどうやって「アメリ…

『エンジェルス・イン・アメリカ』「ミレニアム迫る」

新国立劇場に『エンジェルス・イン・アメリカ』の第一部を観にいった。 1985年。レーガン第二期政権のはじまった年に舞台は置かれる。見かけの景気はよさそうでいて、エイズと精神錯乱がプライベートな話題の中心に居座っている。エイズによって終わる関係、…

佐伯祐三展

東京ステーションギャラリーで佐伯祐三展をみた。待ち時間を使って訪れるまで存じ上げない作家だったが、たいへん満足ゆく展示だった。 20世紀の初頭に東京とパリを行き来して活動した、エゴン・シーレと同じ世代の作家である。若くして肺を病んで、パリで客…

東京都美術館のエゴン・シーレ展

東京都美術館のエゴン・シーレ展をおとずれた。 クリムト、コロマン・モーザー、リヒャルト・ゲルストル、オスカー・ココシュカというぐあいに分離派の面々の作品をあつめて、シーレ展と呼ぶには誇大広告に感じた。冒頭に展示されていたクリムトのふたつの小…

『ボリス・ゴドゥノフ』を観た

初台のオペラシティにムソルグスキーのオペラを観に行った。 外国語の演劇を一流の歌手たちが演じて、しかもそれがオーケストラの演奏を伴っているという舞台。いったいどんな体験なんだろうとかねがね興味を持っていた。それを初めてライブでみた。実にぜい…

舞台『レオポルトシュタット』を観た

新国立劇場にて観劇。『ガラスの動物園』に続くプログラムで、これも楽しくじっくりと堪能した。 表題がユダヤ人居住区のことを指すことだけをあらかじめ知って観賞した。第一幕の冒頭、マーラーの交響曲第一番の第二楽章冒頭が流れて、舞台が世紀末のウィー…

フランス語のテネシー・ウィリアムス『ガラスの動物園』

テネシー・ウィリアムスの『ガラスの動物園』の舞台をみた。イヴォ・ヴァン・ホーヴェの演出、イザベル・ユペールの主演で、新国立劇場にて。舞台を見に行くのは一年前のマハーバーラタ以来。パリのオデオン座による制作を招聘するというのはずいぶん大きな…

横浜市民アートギャラリーに「今日の作家展」をみにいった

先週末の話。横浜市民アートギャラリーに「今日の作家展」をみにいった。 古川結さんの、和紙に岩絵具が自由な色と形で提示される作品群の展示。小林達也さんの、「自分でもなにをつくっているかわからない」と韜晦する大きなペインティング。大崎清夏さんの…

Brian Eno Ambient Kyoto

金曜日に京都にいって、ブライアン・イーノの個展をみてきた。開催がアナウンスされたときから関心をもっていて、もとは妹が京都大学のオープンキャンパスに参加するのに合わせて訪れるつもりでいた。それが大学の事情で中止となったため、日程を変更してひ…

ゲルハルト・リヒター展

国立近代美術館を訪れた。ゲルハルト・リヒター展は明らかに今年の展覧会スケジュールの白眉となる企画で、年初から楽しみにしていた機会であった。しかも同じ期間にボナールの新規収蔵作品のお披露目も開催されている。快晴で、気温は38℃。北の丸公園の日射…

ダミアン・ハースト 桜

国立新美術館に観覧にいった。ダミアン・ハーストは、牛やら鮫のホルマリン漬けをあつかうコンセプチュアル・アーティストという印象を持っていた。それだけに、桜といういくぶん日本の観客におもねったともとらえうるテーマの個展がアナウンスされて、やや…

ミロ展 日本を夢みて

bunkamura ミュージアムに、ミロの展覧会をみにいった。いくつかの小さい作品を単体でみたことはあったが、回顧展のかたちでまとめて鑑賞するのは初めてであった。 シュールな作家ではあるが、ダリやマグリットのようなグロテスクさはなく、細い線でキュート…

Chim↑Pom Happy Spring

森美術館に Chim↑Pom のインスタレーションを観にいった。名前と評判は聞いていたが作品をみるのはおそらくはじめてだった。楽しみにしていた展覧会だった。期待をはるかに超えて完璧にとりこにさせられてしまった。冒頭からやられっぱなしだった。 入場して…