『クローンの攻撃』
スター・ウォーズの第五作をみた。監督は引き続きジョージ・ルーカス。
これはあまり好みでなかった。終始沈鬱な雰囲気を発しているのは、アナキンに葛藤があるせいだが、彼は善と悪のあいだで揺れるというよりも、いつも悪のほうに振れていてかろうじて周囲がそれを支えているというようにみえる。ジェダイ・マスターたちは彼がフォースにバランスをもたらすものと信じようとするが、ヒーローの素質はついぞ垣間見えることがない。前作の幼いアナキンがみせた才能はすでに枯れている様子で、次作を待たずにダークヒーローに成り果てている。つまるところ、葛藤はアナキンのなかにはなく、彼を取り囲むひとびとのなかにだけある。
パドメが堕落をうながしているようにもみえる。とりわけ、ナブーを離れないというみずからの信念を忘れて、アナキンの母を救いにタトゥイーンに同伴するあたりから、毅然とした女王の姿は消えていた。捕縛されたオビ=ワンのメッセージを無視してジオノーシスに向かうところなど、パドメはひとが変わったように拙速である。それでいて、侵入のやりかたはお粗末がすぎるのも考えものだ。
足早に作ったような印象がすくなからずある。中盤では、1分ずつの短いシーンが矢継ぎ早に提示されてモンタージュのようになっているが、これはかえって落ち着きがない。アナキンとパドメが草原でたわむれる場面は、あとからおもえばパドメの恋愛感情が刺激される重要なシーンであったようにもおもわれるが、とってつけたような印象があったことは拭えない。