ユユユユユ

webエンジニアです

本棚

川端康成『古都』

川端康成が読みたいというよりは、京都の話を日本語で読みたいという気分があった。『古都』という作品があると聞き知って、それが新潮文庫から新装版で出始めているということも気に留めていた。その新しい版が区立図書館にあるのを偶然にみつけて借りてき…

Modernism: A very short introduction

芸術思潮としてのモダニズムというのにふと新しく興味がわいて、新宿南口の紀伊国屋の、洋書のフロアを久しぶりに訪れてこの本を見繕った。大学でロマン主義の講義をとったときに、これと同じシリーズの本をテキストに使って、英語のレポートはこういう文体…

ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』

名誉が重んじられていた時代の小さな共同体で、「おれはあいつを殺す」というぐあいに、殺人が予告される。あるものはそれを酔っ払いの大言壮語とおもい、あるものは本気でそれを防ごうと奔走する。それを止めるチャンスは無数にあったはずながら、ボタンの…

温又柔『魯肉飯のさえずり』

新しい小説を読むのはずいぶん久しぶりになる。読みだした最初の10ページほどはなかなかこちらのエンジンがかからずにいた。若い主婦がキッチンに立って独白するという、うまく自分にひきつけてもぐりこめない舞台から話がはじまるので、たしょうの戸惑いは…

坂口恭平の『よみぐすり』

ツイッターで発された「いい言葉」の抜粋を相田みつをの名言集よろしくパッケージしたような本、という印象が最初にあった。元気の出ることは書いてありそうだけど、1ページに140文字くらいという濃度の本で、しかも同じものをネットで無料で読めるんでしょ…

丸山圭三郎『ソシュールを読む』

1-8章では『一般言語学講義』の概要を解説する講義が語られて、9-10章で丸山先生のソシュールに依拠した文化論が語られる。 https://www.amazon.co.jp/dp/4062921200 チョムスキーは知っているけど、ソシュールは大学の講義で聞き知っているくらいで、ちゃん…

『言語が消滅する前に』

でも、文法には説明の気持ちよさがあるんだよ。特に関係がないと思われていた複数の事柄とか、例外に思えていたものが統一的に説明される気持ちよさ。1 数式を美しいというのと同じように、文法は美しい。ごく少ない文法規則、例えば英語であればたかだた5つ…

手を動かして学ぶ 線形代数

マセマの線形代数を終わらせたので、次にやろうとおもっていた参考書を準備した。裳華房の『手を動かして学ぶ 線形代数』である。 8つからなる章立てはいずれも既習の範囲になる。行列の定義からはじまり、対称行列の対角化にいたる。各章は3つの小見出しに…

マセマの線形代数キャンパス

同じタイトルの記事を一ヶ月前に書いた。これをきちんと終わらせることができた。 https://jnsato.hateblo.jp/entry/2022/02/07/230000 二次と三次のベクトルを図示しながら自然な形で概念を示してくれる。より高い次元への一般化は、それが可能であることだ…

孤愁

漱石の『硝子戸の中』を読んだ。ひとりで物思いに耽る、そういう意味の孤愁という単語は、石原千秋の解説文に教えられた。新潮文庫版である。 晩年の漱石が、広くはないが狭くもない部屋の中で、豊かではないが貧しくもない生活をしている。若い日の記憶のな…

SICP が届いた

SICP が届いた。 amazon のレビューを見ていても、みんなが口を揃えて「この本は異常なほど難しい」「しかし読む価値は確かにあった」と、他に類をみない推薦文が並んでいる。 teachyourselfcs.com で言及されていた、 UC Berkeley CS 61A という講義のウェ…

The Little Schemer を読了

The Little Schemer を読了した。正月休みに読み始めていた。 ひとくちに再帰といっても、よくわかっていないところが多い。うまく制御できずに無限ループを引き込んでしまうのが怖い。そういう畏怖に似た感情をもつ人は少なくないのではないか。かくいう僕…

The Little Schemer を読み始めた

Cがコンピュータがどう動作するかのモデル化に最も適した言語とすると、Lispは計算というものがどう振る舞うかをモデル化するのに最も適した言語だ。ほんとのことを言って、Lispについて多くのことを知る必要はない。一番シンプルでクリーンなSchemeを使い続…

多読より精読

多読の逆を心がけた一年だった。少ない本をじっくりと読む。そうすることで、かえって知恵は深められたようにおもう。 今年読み上げた本のうち、確かに身になったとおもえるものを列挙する。どれもアカデミズムにおける経歴がたしかな著者/訳者によるもので…

K&R を読み通した

K&R を読みはじめた - ユユユユユ より1ヶ月で、ひとまず通読した。 ANSI C の大きくない仕様を一冊で網羅する、という能書きで始まる。実際、シンタックスの説明は用法を折々に交えながらでも、150ページばかりで終わっている。残りの40ページは標準ライブラリと…

『大学生物学の教科書 1: 細胞生物学』を読んだ

カラー図解 アメリカ版 新・大学生物学の教科書 第1巻 細胞生物学 (ブルーバックス) https://www.amazon.co.jp/dp/4065137438 簡単な化学から始まり、やがて難しい化学になる。それを元手にして、タンパク質、脂質、糖質というみっつの高分子の多様性をみて…

K&R を読みはじめた

The C Programming Language を読み始めた。著者が Kernighan and Ritchie の二人組であることより K&R という愛称で呼ばれるようである。 学生の頃に無料で落ちていた PDF 版を手に入れて冒頭を眺めたことを覚えている。そのころは古典を所有するという以上…

CS:APP を読み終えた

「CS:APP を読みはじめる」という記事を書いてから足掛け3ヶ月にして、読了に漕ぎつけた。案外ペースとしては悪くない。各章末に配された練習問題はスキップする方針で読んだ。平日には長くても1時間、週末には気が向く範囲で数時間といったくらいの時間を割…

CS:APP を読みはじめる

Computer Systems: A Programmer's Perspective の日本語訳、『コンピュータ・システム — プログラマの視点から』を購入した。通称は CS:APP というらしい。 値段、重量、厚みすべてにおいてヘビー級の一冊である。16000円だった。消費税で本が一冊買える。 …

Designing Data-Intensive Applications を読み終わった

昨年末に着手して、足掛け5ヶ月で読了した。 5ヶ月というとあまりに時間がかかりすぎているように聞こえる。実際には年末年始とこの GW で集中的に読んだ。しかも、後者の連休ではメモを取りながら読み進めることをやめて、読み終えることそのものを目標化し…

Designing Data-Intensive Applications を読むにさきだって

年末年始の課題図書を紹介する。といっても紹介するのは一冊だけである。一冊だけではあるが、骨太な一冊を選んでいる。積読を消化するよりも絶対これを読みたい! というホットな気持ちで手に入れた本であるため、初々しいアティチュードを記録する目的で書…

「決断をしない」という決断をすること

アーキテクトの目的は、方針とは無関係に詳細を決めながら、方針をシステムの最も重要な要素と認識するシステムの形状を作ることである。こうすることで、詳細の決定を延期や留保することができる。1 メールマガジンの配信システムを実装している。 配信基盤…

コンパイラ概論で遭遇した用語集まとめ

The Elements of Computing Systems を読み進めている。今週からいよいよ大詰めのコンパイラ編に突入した。 The Elements of Computing Systems: Building a Modern Computer from First Principles (The MIT Press)作者:Nisan, Noam,Schocken, Shimon発売日…

Go で仮想マシンを作った

アセンブラを実装した前回の記事に続いて、 The Elements of Computing Systems にしたがって仮想マシンを実装した。その所感を本記事にまとめる。 以下でも述べるが、仮想マシンとはいっても VirtualBox のような代物ではない。より限定的な意味における仮…

Go でアセンブラを作ってみた

先週のポストで、プライベートの学習がうまく進められていないことを書いた。不思議なもので、言語化してアウトプットしてみたら気が楽になったのか、ここ一週間はだいぶ調子がよくなってきている。 で、先月来少しずつ読み進めている The Elements of Compu…

8月に取り組むテキストを紹介する

月初めのモチベーターとして、準備したテキストを紹介していく。 The Elements of Computing Systems The Elements of Computing Systems: Building a Modern Computer from First Principles (The MIT Press)作者:Nisan, Noam,Schocken, Shimon発売日: 2008…

背伸びして『Effective C++ 第3版』を読んだ

ある Googler の投稿を読んでいて、見かけた本である。題字のフォント、表紙のデザインなど、飾り気はないのに力強いオーラを持つ装丁がただちに印象に残った。名著という評判も高いおかげで安心して読むことができたし、翻訳も丁寧な印象で、自然に読める心…

『江添亮のC++入門』でC++の基本を学び直す

競技プログラミングに触れるようになって、自己流ながら少しずつC++が使えるようになってきた。しかしきちんとした参考書を読んだことがなく、体系立てた学習もしたことがないのが気にかかっていた。学習といえば、AOJの教育コンテンツを少しやったばかりで…

『キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者』を読んだ

大学生であったおり、就職活動に合わせてこの参考書を手に取ったことがある。そしてほとんど2割も読まずに匙を投げた。資格の存在を知るより先にプログラミングのアルバイトを始めていたから、資格試験の勉強では死んだ知識しか身に付けられない、と粋ぶって…

7月に取り組むテキストを紹介する

月が改まり、仕事も入った。時間の余裕は減る。しかし今までが暇すぎたのである。これからは気持ちを入れ替えて、メリハリをつけて勉強に取り組もうと思いを新たにしている。 で、そのためのテキストをいくつか用意したので、紹介する。 ■ キタミ式イラストI…