ユユユユユ

webエンジニアです

箸作りのワークショップにいった

日曜日のレジャーに、パートナーと都立大学駅ちかくの工房に箸作り体験をしにいった。 直方体の木材からかんなで箸を削り出して、やすりをかけて、亜麻仁油を装わせて完成させた。木目の方向を意識しながらかんながけをする工程は、素材の個性が試行錯誤を要…

『スターシップ・トゥルーパーズ』

ポール・バーホーベンの SF 娯楽映画をみた。 ファシスト政治が巨大な虫の形態をもった地球外生命体を生存圏確保のために駆逐しようとする。市民権は軍役と不可分になって、民主主義は滅んでいる。そういう世界のなかに、アメリカ合衆国のハイスクール文化と…

『白痴』

黒澤明によるドストエフスキーの映画化作品を観た。舞台をロシアから札幌に移して、ふたりの男とふたりの女の複雑な関係を提示している。 たくましい男性像とかよわい男性像の対比がいっぽうにあって、他方で女たちは気が強くなよなよしていない。しかし傲慢…

『ビリー・ホリデイ物語』

日曜日の午前中に、東銀座の東劇をはじめておとずれて、ビリー・ホリデイの最晩年のステージを舞台化した作品を観た。オードラ・マクドナルドが歴史的な演技によって称賛を浴びたという広告が、映画館の古い建物のビルボードに堂々と掲示されていて、おもわ…

『脚本家 黒澤明』を読んだ

国立映画アーカイブの特別展の展示物を、国書刊行会が書籍化して出版していることを知った。新宿の紀伊国屋でのブックフェアで見つけて、ただちに買って持ち帰りその日のうちに読んだ。 助監督業のかたわら禁欲的に脚本の執筆にいそしんだ若い時代にはじまっ…

大江健三郎さん

大江健三郎さんがなくなられたという報道をみた。 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230313/k10014006861000.html 実はすでにいないひとになっていて、ただ発表がされていないだけであるような気が、この数年間あった。エドワード・サイードさんがそうし…

長崎旅行

3月3日から5日まで長崎市にいた。目的は気晴らし。 市内から山を越えた茂木というちいさな港町の、月と海という宿に泊った。海のみえるおおきな窓が東向きに備わっていて、朝にはまぶしいばかりの爽やかさが、夜には黒々しい雄大さがあった。全日好天であっ…

『ベネデッタ』

ポール・バーホーベンの新作を新宿武蔵野館に観に行った。 秘蹟が事実であるか虚言かで揺れるドラマであるが、超越的な奇蹟は存在するはずがないという立場から眺めるに脆弱さもある。この修道女は実在したと冒頭と末尾でしつこく言及するのはいくぶん蛇足で…

CPU の仮想化、カーネルモード、トラップ

TIL

ウィスコンシン大学が公開している Operating System: Three Easy Pieces の第六章で、プロセスという抽象化がどのようにして CPU を効率的に使おうとするかの描写を読んだ。 https://pages.cs.wisc.edu/~remzi/OSTEP/cpu-mechanisms.pdf 断片的に知っていた…

システムコールのコスト

TIL

ウィスコンシン大学が公開している Operating System: Three Easy Pieces の第六章 "Direct Execution" より、システムコールのコストを計測する課題を書いた。 テクストはこれ。末尾に課題の説明がある: https://pages.cs.wisc.edu/~remzi/OSTEP/cpu-mechan…

東京都美術館のエゴン・シーレ展

東京都美術館のエゴン・シーレ展をおとずれた。 クリムト、コロマン・モーザー、リヒャルト・ゲルストル、オスカー・ココシュカというぐあいに分離派の面々の作品をあつめて、シーレ展と呼ぶには誇大広告に感じた。冒頭に展示されていたクリムトのふたつの小…

『M★A★S★H』

奇異な題名は高校生のころから知っていたけれど、観る機会がないままになっていた独特な映画『M★A★S★H』をみた。 おおきな筋がある代わりに舞台のお膳立てだけがあって、そのうえで即興的に大小の逸話が書かれていく。その構造に気づくまでは、いまいちとら…

新国立劇場で『ファルスタッフ』を観た

新国立劇場でヴェルディの『ファルスタッフ』の上演を観た。イタリア・オペラを観るのも、喜劇オペラをみるのもはじめてで新鮮におもった。 初演は1893年。ヴェルディはワーグナーと同年の生まれで、ワーグナーの死から10年後にこれを世に出した。晩年のスタ…

新国立劇場で『タンホイザー』を観た

新国立劇場にタンホイザーの上演をみにいった。今シーズンのプログラムでは唯一のワーグナー作品である。 完璧な舞台であった。これまでに観たどの演劇よりも優れた体験を与えられたと無邪気に信じてなんの迷いももたない。オーケストラが序曲を演奏しはじめ…

『カッコーの巣の上で』

人間の自由を疑ってしまいかねない気分のときにうってつけの映画を観た。 怠惰で粗暴であることは悪であるのか? 手に入れたいものを求めることは傲慢であるのか? 判決をくだして断罪しようとする者もまた、不完全な人間であるというのに。 刑務作業はした…

内視鏡検査を受けた

有給休暇をとって内視鏡検査を受けた。直腸部分に炎症がみつかって、細胞が検査機関に送られることになった。その結果を聞くのは半月後になる。 去年の秋の京都出張のおり、ホテルのトイレで下血した。痛みをともなったというわけでもなくて、ただ便器が赤く…

『ペルシャン・レッスン 戦場の教室』

Bunkamura ル・シネマに強制収容所と偽語学を題材にした映画をみにいった。 焦点の定まらないストーリーテリングだった。主人公のユダヤ人の葛藤には踏み込まないいっぽうで、収容所につめかけるナチスに対しては、かれらの小市民的な悩みに不適切によりそう…

長い週末

金曜日の夜に、パートナーの家にはじめて誘われて遊びにいった。吉祥寺でアメリカンピザを食べ、アトレでノンカフェインの紅茶を選んで買ってから、小田急バスに乗った。ドラッグストアで歯ブラシを買った。グレープフルーツジュースの入った甘くないお酒を…

『パーフェクト・ワールド』

イーストウッドの監督作を観た。1993年。 冒頭のシークエンスは、真っ白のタンクトップを着たケヴィン・コスナーが芝生に寝そべった様子を映す。汗ばんだ右腕を頭の後ろに回して、眩しい日差しに目をつむっている。『出てこいキャスパー』のお面がかたわらに…

「専門的な技術があまり必要でないIT・ウェブサービス」

東大新聞に学生起業の記事が出ていた。タイトルは文中からの引用。 https://www.todaishimbun.org/startup_20230123/ 広い世界では、ウェブサービスの "技術" などはほとんど数えなくてもよいものだという態度がおかれていることがよい。これはある種類のひ…

ワイルドファイア展

上野の国立科学博物館にワイルドファイア展をみにいった。 火災によって物質が破壊されるというのを悲劇的におもわせるのではなく、むしろ森が火によって変成を被ることでかえって長く残るようにもなりうるという視座の回転を手に入れた。地球上のどこかでは…

小石川植物園

すこし前の話だけれど、1月8日に小石川植物園を訪れた。いい天気で、すでに花開いている梅の木があった。ミツマタの小さな木におもしろいつぼみがついているのをみた。野鳥がいたるところで鳴いていた。 自動販売機でさつまいもスープの缶を飲んだ。すこし甘…

『ディーバ』

ジャン=ジャック・ベネックスの第一作を新文芸坐に観にいった。 性的倒錯を美化して描いているようで、たいへん居心地が悪かった。ジュールズのいくつもの狂った犯罪をすべて受けとめることがシンシアの存在意義になっていて、ご都合主義の脚本もいいところ…

『アメリカ合衆国ハーラン郡』

ケンタッキー州ハーラン郡での、鉱山労働者によるストライキを記録したドキュメンタリー。 冒頭のシークエンスは、暗い鉱山のなかではたらく労働者たちを記録する。真っ黒の塵が充満する環境で肉体を酷使する労働者たち。その塵は彼らの肺をむしばんで、命を…

『ゲット・アウト』

ジョーダン・ピール監督の評判高いデビュー作を観た。2017年の作品。 ホラー映画と聞くのでおそるおそる観はじめたのだけれど、あんがい恐怖とは遠い印象が続いた。しかし得体の知れない違和感、いやらしさ、居心地の悪さはたたみかけられる。 年嵩のひとび…

『激突!』

スピルバーグの駆け出し時代の作品を観た。不条理と被害妄想が重なり合うさまを描いて、アメリカらしい物語であると感じた。 ほとんど全編がたったひとりのカーチェイスに費やされていて、スクリーンに二人以上の人物が映るシーンはごく少なく切り詰められて…

Between the World and Me by Ta-Nehisi Coates

荻窪に住んでいたとき、ある日曜日にひさしぶりに書店にいく時間ができて、そこでみつけて買ったのだとおもう。あまり読めずに実家の書架に挿していたものを、年末年始の休暇に読んだ。 アメリカ合衆国の住人が、黒人差別を嘆いたり、そんなものは存在しない…

『コマンドー』

シュワルツェネッガーの『コマンドー』で、景気よく新春の映画初めをした。 素晴らしい肉体が自動ライフルの反動で揺れるのを、シュワルツェネッガー世代ドンピシャの母ともども楽しくみた。一瞬たりとも目が離せないというのを、サスペンスとは真逆の意味で…

2023年の願望: やっぱり Starfield をやること

Starfield をプレイすることだけを去年の年初に主張していた。これは発売延期になって、未達成。で、今年も同じ願望を継続することにする。 仕事のうえでは、関数型言語を業務でつかうようにしたいというくらいのほのかな望みはあるけれど、モチベーションが…

2022年はこんな映画をみた

劇場で観たものでよかったものを選び出すとこうなる。正しく順序付けようというほどに考えてはいなく、なんとなく記憶に残るものを上においておく。 『偶然と想像』 - ユユユユユ 『グリード (1924)』 - ユユユユユ 『コーダ あいのうた』 - ユユユユユ 『トップガン マーヴ…