ユユユユユ

webエンジニアです

2022-01-01から1年間の記事一覧

ピーター・ガブリエルの新しいヨーロッパツアー

i/o The Tour と題された 2023 年の公演シリーズの案内がメーリングリストで届いた。 https://petergabriel.com/news/i-o-the-tour-announced/ i/o というのは、製作中の新作の表題に合わせているらしい。かたや流行技術にうそぶいて騒がしい世相があるいっ…

『ドン・キホーテ』の抄訳を読んだ

セルバンテスのドン・キホーテを、岩波少年文庫の牛島信明訳による抄訳で読んだ。 風車に突撃する偽騎士の話だということが教養としてひろく行き渡っているのは言うまでもない。しかしそれにとどめておくにはあまりにもったいない。この歳まで読まずにきたこ…

つまらないことに落ち込むこと

やがて必ず死が向こうからやってくることを思うとどうしようもない無力をおぼえる。 処方箋は、それを考えないこと。それははっきりしているけれど、思わぬときに死角からそれを突きつけられて愕然とする。 ひとつ前の日記に『BROTHER』を観たと書いた。明る…

北野武の『BROTHER』を観た

北野武の『BROTHER』を観た。2001年の作品。 日本人のヤクザが暴力によってロサンゼルスに勢力を築いて、崩壊していく。山本と白瀬の効果的な銃撃によってのし上がっていく様子は、爽快なテンポで描かれているが、常に悲哀がつきまとっている。とりわけ、寺…

phx.gen.auth

Phoenix アプリの認証基盤ジェネレータを使ってみていた。 https://hexdocs.pm/phoenix/mix_phx_gen_auth.html 動かしてみておもしろいことはもとより、パブリシティや設計文書を読むのがおもしろい。 というのも、 Elixir の父たる José は、それに先立つプ…

Light Theme

TIL

エディタとターミナルのカラースキームを Dark から Light に移した。 Hacker News で開発環境のカラーテーマの話で盛り上がっているのをみて、 Light を使ってみるのもおもしろそうにおもった。 Dark ベースにそろえていたのは特にこだわりがあってのもので…

太宰治の『右大臣実朝』を読んだ

鎌倉殿ブームにあやかって買ったままになっていた、岩波文庫から新しく出た太宰治の『右大臣実朝』を読んだ。 太宰といえば天衣無縫の私小説作家という先入観があったのだけれど、それはまさしく先入観だった。『右大臣実朝』は、吾妻鏡からの引用、実朝の歌…

Elixir in Action, 2nd Ed

Saša Jurić の Elixir in Action, 2nd Ed を読んだ。 https://www.manning.com/books/elixir-in-action-second-edition この本は前々からいつか読んでみようと思いながら、いやいまはもっと他にやりたいことがあるから止めておこう、と躊躇していた。そして…

北野武の『キッズ・リターン』を観た

ボクシングものであるという先入観で観たら、あんがいボクシングのみならずヤクザ、漫才、サラリーマンの世界の端々を、それらの世界に足を踏み入れていく若者たちの視点を通して描いて、シーンとシーンのあいだに独特の濃淡があった。子供が大人の世界に足…

個人事業を廃業した

税務署と都税事務所に廃業届を出してきた。 開業の日付をフォームに埋めなければならなく、 Google Calendar をひっくり返して探したら、2018年の1月の第2月曜日がそうだった。はじめて自分で仕事を手に入れたあの日からもう5年弱になるのか、という気分と、…

phoenix がマスアサインメントを防御するやりかた

コントローラで受け取ったユーザー入力のパラメータを、コンテクストを通してそのままレポジトリに渡すコードはわりと普通に書くものらしい。チュートリアルでも、ビューヘルパーが組み立てたこんな強烈なパラメータをほとんど検証せずにデータベースの近く…

Keyword で適当な引数を受け取るプラクティス

長ったらしい日記を昨日書いて、それをさっそく修正する気になった。 https://jnsato.hateblo.jp/entry/2022/10/30/010000 オプショナルなパラメータを Keyword で受け取るときに、パラメータごとにパターンマッチして正規化して...という手続きを大量の場合…

scrivener_ecto

ActiveRecord には心強い kaminari gem があるけど、 Ecto ではどうかな? と hex.pm で検索してみて、 scrivener というライブラリをみつけた。 scrivener_ecto とセットでよく流通しているらしい。これで遊んでみていた。ごくありふれたページネーションで…

Elixir がおもしろくて寝不足

今週は仕事の外で Elixir をいじっていて、妙にたのしくなっていた。あれもこれも試してみたいとソワソワしてしまって、寝ようにも頭が冴えてしまって寝不足がちだった。 1年前くらい前からセコセコとチュートリアルをやったり exercism.org でクイズを問い…

舞台『レオポルトシュタット』を観た

新国立劇場にて観劇。『ガラスの動物園』に続くプログラムで、これも楽しくじっくりと堪能した。 表題がユダヤ人居住区のことを指すことだけをあらかじめ知って観賞した。第一幕の冒頭、マーラーの交響曲第一番の第二楽章冒頭が流れて、舞台が世紀末のウィー…

"Docker and OTP Friends or Foes" by Daniel Azuma

データの永続化層を持たないサーバーサイドアプリケーションをコンテナでデプロイする、という主題の講演。4年も昔のアーカイブだけれど、楽しく視聴した。 https://www.youtube.com/watch?v=nLApFANtkHs CRDT という固有名詞が出てきた。 Conflict-free Rep…

『トップガン マーヴェリック』をふたたび IMAX で

新宿の IMAX 上映は秋になって終わってしまった。指輪物語の復刻上映がしばらくあって、いまはアニメ映画を上映している。あいまにトップガンの新旧二本立て上映というプログラムもあったけれど、疲れてしまうそうでついに行かなかった。 前の週に大きい仕事…

『マルホランド・ドライブ』

ダイアンとカミーラというドッペルゲンガー的ペアが、いっぽうでは重なり合いもういっぽうでは相争うという、アメリカン・ゴシックの系譜を引き継ぐ想像力とおもった。 登場時点では典型的な田舎娘として描かれて、語るべき内面を持たないような、いくぶん浅…

N響定演: ブロムシュテット指揮のマーラー第九

先週のオーチャードホールに続いてN響のプログラムを聴きにでかけた。NHKホールを訪問するのは初めて。マーラーの大作を聴ける機会ということで楽しみに向かった。 ブロムシュテットという名前は、いつかみたドキュメンタリー番組で記憶していた。東独時代…

クラークスのモカシンを買った

仲のいい美容師さんが格好いいモカシンを履いていた。それどこのやつですか、と尋ねて、クラークスのワラビーという製品だと知った。そのまま渋谷神南のクラークス販売店に行って、黒のを一足買った。 品のいいホールでコンサートを聴いたり舞台を観たりする…

黒澤明の『悪い奴ほどよく眠る』

「悪い奴」に正義が立ち向かうという大きな筋書きを、社会的な関係と人情の機微で肉付けして厚みを出す脚本で語っていて、たいへん満足した。 秘密の動機を浮き彫りにするやりかたがおもしろい。汚職の秘密を共有する「クリーンナップトリオ」に食い込んでい…

第121回N響オーチャード定期を聴きにいった

「コンサートホールで世界旅行! 北欧の秋」というサブタイトルがついている演奏会。ウィーン生まれのサッシャ・ゲッツェルさんが指揮をとって、こういうプログラムだった。 グリーグの「ペール・ギュント」第一組曲 作品46より "朝" グリーグのピアノ協奏曲…

最低のアレ

二日前のこと。あるウェビナーにて、質疑のセッションでぼくの発言したなにかが講師の機嫌を逆なでした。そして、拒絶の言葉を投げられた。なにがタブーだったのかはわからない。悪意をもって発言したわけではないときに、どうしてこう互いに不愉快にならな…

フランス語のテネシー・ウィリアムス『ガラスの動物園』

テネシー・ウィリアムスの『ガラスの動物園』の舞台をみた。イヴォ・ヴァン・ホーヴェの演出、イザベル・ユペールの主演で、新国立劇場にて。舞台を見に行くのは一年前のマハーバーラタ以来。パリのオデオン座による制作を招聘するというのはずいぶん大きな…

横浜市民アートギャラリーに「今日の作家展」をみにいった

先週末の話。横浜市民アートギャラリーに「今日の作家展」をみにいった。 古川結さんの、和紙に岩絵具が自由な色と形で提示される作品群の展示。小林達也さんの、「自分でもなにをつくっているかわからない」と韜晦する大きなペインティング。大崎清夏さんの…

フェリーニの『8 1/2』

印象的なシーンはあった。たとえば大女のダンス。ルイーザの憤激。泥風呂でのめくるめくワンショットでのセリフ回し。それらはみな、この映画が名作たるゆえんではなく、ジャンクに埋もれた一片の輝き、全体の成功に寄与しない一部の成功、とみた。芸術家は…

黒澤明の『天国と地獄』

夕暮れに話ははじまる。主人公権藤が勤め先に敵対的買収をかける計画が披露されたあとに、誘拐犯からの最初の電話と、警察の秘密の介入によって舞台のお膳立てが整って、他人の子のために身代金を支払うか、支払わないか、という問題に煩悶する演劇仕立ての…

小野絵里華『エリカについて』

新宿紀伊國屋書店をふらっとおとずれたら、一階と二階のフロアが大きく改装されて公開されていた。そういえばしばらくのあいだ二階の文芸コーナーがアクセス不能になっていて、眺めたい棚がどこにいってしまったのかわからなくなっていた。昔ほどにしょっち…

ヴィスコンティの『ベニスに死す』

セリフの比重が大きくないわりに、じっくりと演技をみせるということもしてくれず、遠くに配置したカメラをしつこくズームインして登場人物の顔がスクリーンからはみださんばかりとなり、ちょっと動くだけでも画面のなかでは激しく動いてしまって落ち着かな…

Light in August by William Faulkner

肌の白い男。彼が容疑を受ける殺人、放火、逃走。生まれたときから黒人の血が流れていると疑われて、自分が白いか黒いかも、なんのために生まれてどこに向かっているのかもわからずに、数少ない知己とのすれ違いから破滅のほうに押し出されていく。 身重の若…