ユユユユユ

webエンジニアです

ランダウの記号

計算量の上界を見るときにビッグオー記法などとよく引き合いに出される、例のランダウの記号というやつについて、解析学のテキストで触れられているものを読んだ。「他の定理はともかくとしてこれなら知っているぞ」といわんばかりの思いで臨んだが、数学的定義のちんぷんかんぷんさに打ちのめされた。とはいえひとまずテキストの内容は理解できたと信じて、この定義を忘れないようにしたいとメモを書いておく。

収束速度の表現

 x \to a のとき  0 に収束するふたつの関数を考える。  a = 0 として  x \to 0 と考えてもよい。

 \displaystyle
\lim_{x \to a}{\varphi(x)} = 0

 \displaystyle
\lim_{x \to a}{\psi(x)} = 0

 \sim 記号

 \displaystyle
\varphi(x) \sim \psi(x)
と書いて  \displaystyle
\lim_{x \to a}{\frac{\varphi(x)}{\psi(x)}} = 1
を意味する。

 \displaystyle \varphi(x) \displaystyle \psi(x) が同じ速さで  0 に収束するということ。

 o (スモールオー)記号

 \displaystyle
\varphi(x) = o(\psi(x))
と書いて  \displaystyle
\lim_{x \to a}{\frac{\varphi(x)}{\psi(x)}} = 0
を意味する。

 \displaystyle \varphi(x) \displaystyle \psi(x) よりも速く  0 にいくということで、このとき  \varphi(x) \psi(x) より 高位の無限小 という。

 Oビッグオー)記号

正の数  K があって

 \displaystyle |\frac{\varphi(x)}{\psi(x)}| \leq K, x \to a

のとき  \varphi(x) = O(\psi(x)) と書く。

 O(\psi(x)) \psi(x) で割って  K で上から抑えられる数」と覚えればよい。

発散速度の表現

 x \to \infty のときもだいたい同じ感じで表現できる。ここでは省略。

テイラー展開の表現

 Rn を剰余項としてこんな風に書くことにする。

 \displaystyle
f(x) = f(a) + f'(a)(x-a) + \frac{f''(a)}{2!}(x-a)^{2} + \cdots \\\
\displaystyle + \frac{f^{(n-1)(a)}}{(n-1)!}(x-a)^{n-1} + Rn, x \to a

このときに  Rn (x - a)^{n} で割れてかつ正数  K で上から抑えられるので、

 \displaystyle
Rn = O( (x - a)^{n} )

とも表現できるわけである。

さらに  (x-a)^{n} (x-a)^{n-1} より高位の無限小なので

 \displaystyle
Rn = o((x-a)^{n-1})

としてしまってもよい。

不定形の極限を計算するときには、テイラー展開を上手に使って  O( (x-a)^{n} ) o(1) のような形に持ち込みたい。  o(1) はつまり「 1 で割って  0 になる数」として処理できる(無視できる)ことになり、  \displaystyle \lim_{x \to 0}{(x + o( 1 ) )} = 0 のように計算できる。

たとえばこのように:

 \displaystyle
\lim_{x \to 0}{\frac{\log(1+x) - x}{x^{2}}} \\\displaystyle
= \lim_{x \to 0} {\frac{( x - \frac{1}{2} x^{2} + O(x^{3}) ) - x}{x^{2}}} \\\displaystyle
= \lim_{x \to 0} {\frac{- \frac{1}{2} x^{2} + o(x^{2})}{x^{2}}} \\\displaystyle
= \lim_{x \to 0} {( - \frac{1}{2} + o( 1 ) )} \\\displaystyle
= - \frac{1}{2}