ユユユユユ

webエンジニアです

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『フランシス・ハ』

ノア・バームバック監督の『フランシス・ハ』を観た。 社会にうまく馴染めない、というほどに悲壮感のあるわけではないけれど、空回りをしてはどこかさみしげなフランシス、27歳を描く。 惨めたらしく過ごしても不思議でないはずの人生が、口から生まれてき…

『リゴレット』

新国立劇場に、『リゴレット』をみにいった。初日の公演であった。 筋書きは救いのない悲劇そのものである。 容貌が醜いからほかに仕事もなく道化師をするリゴレットは、一人娘のジルダをたいせつに愛する父の顔ももつ。彼のあるじにしてのちに敵となるマン…

『ブルー・バイユー』

国籍システムの不備が悪意を持って運用されているという主題設定と問題提起に優れたものがある。 養子として合衆国にやってきて、そこで長く暮らしてきた人間が、手続きの不備をもって「見知らぬ母国」に送り返されるという理不尽さは現存する。人種マイノリ…

『エンジェルス・イン・アメリカ』「ペレストロイカ」

新国立劇場に『エンジェルス・イン・アメリカ』の第二部を観にいった。第一部から二日後の、夕方の上演を観た。 プライアーの前に天使が降りてきて第一部が幕切れとなったあとで、しかし登場人物の誰もまだ恩寵を受けてはいない。そこからどうやって「アメリ…

『エンジェルス・イン・アメリカ』「ミレニアム迫る」

新国立劇場に『エンジェルス・イン・アメリカ』の第一部を観にいった。 1985年。レーガン第二期政権のはじまった年に舞台は置かれる。見かけの景気はよさそうでいて、エイズと精神錯乱がプライベートな話題の中心に居座っている。エイズによって終わる関係、…

『スカイウォーカーの夜明け』

スター・ウォーズの第九作をみた。 ふたたびはじまってしまった物語になんとか決着をつけるために長い因縁を総動員して、それでどうにかこうにか話が終わることになる。観客としても、なんとか付き合いきれたという安堵を持っている。 レイの葛藤の根源は彼…