ユユユユユ

webエンジニアです

2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ゲルハルト・リヒター展

国立近代美術館を訪れた。ゲルハルト・リヒター展は明らかに今年の展覧会スケジュールの白眉となる企画で、年初から楽しみにしていた機会であった。しかも同じ期間にボナールの新規収蔵作品のお披露目も開催されている。快晴で、気温は38℃。北の丸公園の日射…

Beats X

エアーポッズを耳に挿して長いオンライン講演を聞いていた。3時間をまわったあたりで、充電が切れて聞こえなくなった。最後まで聞くだけならノートパソコンのスピーカーでも十分であるのだが、最後にやってくる質疑のセッションで尋ねてみたいことがあったの…

ghq でインストールしたレポジトリをまとめて pull する

TIL

github.com/x-motemen/ghq でインストールしたレポジトリをまとめて pull する。並列化したスクリプトを自前で書こうとする前にオプションのリストを眺めていたら、単にワンライナーでできることに気づいた。それがこれ。 ghq list | ghq get --update --par…

『リコリス・ピザ』

断片的なエピソードを恣意的にみえるやりかたで接合して長編に仕立てた印象があった。ひとつひとつの断章はおもしろい小話になっているが、全体を統合する構造をつい探してしまい、それがあらわれなかったことで肩透かしを受けた感覚があった。 青春映画の体…

川端康成『古都』

川端康成が読みたいというよりは、京都の話を日本語で読みたいという気分があった。『古都』という作品があると聞き知って、それが新潮文庫から新装版で出始めているということも気に留めていた。その新しい版が区立図書館にあるのを偶然にみつけて借りてき…

Modernism: A very short introduction

芸術思潮としてのモダニズムというのにふと新しく興味がわいて、新宿南口の紀伊国屋の、洋書のフロアを久しぶりに訪れてこの本を見繕った。大学でロマン主義の講義をとったときに、これと同じシリーズの本をテキストに使って、英語のレポートはこういう文体…

自転車の点検

自転車のサドルがガタガタになっていた。こぐと腰のトルクに合わせて尻の下でゆらいで、ズルズルストンと落ちるようになっていた。暑さでバカになったかと笑い話になればいいものの、まれに起こるだけの不調だったものが徐々に頻度を増して、不快であるだけ…

ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』

名誉が重んじられていた時代の小さな共同体で、「おれはあいつを殺す」というぐあいに、殺人が予告される。あるものはそれを酔っ払いの大言壮語とおもい、あるものは本気でそれを防ごうと奔走する。それを止めるチャンスは無数にあったはずながら、ボタンの…

『わたしは最悪。』

クライテリオン・コレクションのアーカイブから、気の向くままにお気に入りの映画をいくつかピックアップする短いビデオシリーズをこのまえ見つけた。このビデオではスターの風格を持ったレナーテ・レインスヴェという女優がフィーチャーされている。 https:…

バカと言いあう美しい世の中

当てこすりをすると、ひとまず溜飲は下がるが、あとになってこれがやれ誹謗だ中傷だ名誉毀損だと大騒ぎになると困るなあ、と萎縮させるような後悔もある。それは愉快でない。 バカ野郎とひとを罵り、それが「あなたの知性は低くいらっしゃいますね」と字義通…

期末試験のはじまり、ほとんどおわり

放送大学は昨日から一学期の試験期間になっている。今期からマークシート方式を廃止して、オンライン受験に移っている。この土曜日に4課程中3つを受験した。解析、線形代数、データベース。 解析の対策にいちばん不安があった。講義を聞いても五里霧中になっ…

鎌倉殿の13人

今年の大河ドラマはめっぽうおもしろいという話を教えられて、この月から NHK オンデマンドを契約して、駆け足で最新話まで追いついた。ちょうど頼朝が物故したところ。13人というキーワードは次回から大きく取り上げられることとなり、いよいよおもしろく、…

日傘、図書館、台湾料理

猛暑につきランニングを止めているのだが、昼食のあとに散歩する習慣は残している。6月末に猛暑が続いたときに日傘を調達した。暑いことには変わりがなく、焼け石に水とおもいもしながら、それでも日差しを直接受けるよりはずっとマシだと信じて持ち歩いてい…

温又柔『魯肉飯のさえずり』

新しい小説を読むのはずいぶん久しぶりになる。読みだした最初の10ページほどはなかなかこちらのエンジンがかからずにいた。若い主婦がキッチンに立って独白するという、うまく自分にひきつけてもぐりこめない舞台から話がはじまるので、たしょうの戸惑いは…

『ベイビー・ブローカー』

もっとも崇高な瞬間はただ一度だけ訪れる。 それは決定的な破局の直前に訪れる。嵐の前の静けさといってもいいかもしれない。どうしてこんなことに、と浮足立ってもおかしくないときに、かえって運命をいつくしむようにして悠然としている。 灯りを消して、…

解析入門 ('18) 全15回

シラバスの課程を終えた。しかし音声講義の不十分さから、不必要に苦しめられたという嫌な気分は最後まで残っている。自分の能力不足を棚にあげて教師を責めることほど無神経なことはないとわかりつつも、ここに関しては我慢することが難しい。ぼくの水準と…

線形代数学 ('17) 全15回

「入門線形代数 ('19)」の直接の続編講義である。「入門」では、行列演算の基本事項から「固有値を求めて対角化する」というところまでをカバーしていた。今期の講義では、幾何ベクトルから再出発して、各種の変換を学んで、ジョルダンの標準形を求める。ま…

『サッドヴァケイション』

暗闇のなかに二人組が立っている。粗野な格好をして、並んで遠くを眺めている。なにかを待っている。 二人は無言で無骨な鉄ハシゴを降りる。狭い地下室に男たちがすし詰めに横たわっており、眠っていたのだろう、懐中電灯に照らされて不服そうににらみつける…