放送大学「初歩からの数学 '18」は、第十章にて三角関数を扱っている。すっかり記憶が磨耗していることに恥をしのびつつ、加法定理をいちど書き出してまとめておこうとおもう。
結局のところ、基本の形をもとにして、いくつもの展開形が生じるということになる。「すべてを覚える必要はないので、いつでも導出できるようにしなさい」という指導をそういえば受けたことがあったなあ、と学生時代に思いをはせつつ、その導出手法を確認しておく。
基本の形はこれだ。これがなければなにも始まらない。
左辺で と
に加法を適用しているので加法定理ということになる。減法定理というものはない。上式で
を
に置き換えると、次の式がえられるだけのことである。
定義より
であるので、
こうして加法定理の4つの基本形がえられるわけである。あくまで、最初のふたつだけを強く記憶すればよい。
三角関数の積を和ないし差に直す公式、というものもある。これは加法定理からこのように求められる。
変形した方が扱いやすければそうしよう
記号の組み合わせが忙しく記憶に負荷をかけてよこす。実際のところ、記憶するよりも加法定理から導出するのはたしかに安全そうである。
積を和(差)変換できたのと同じ理屈で、和ないし差を積に変換する公式も導ける。ただしこれにはわずかな操作が必要で、そこが混乱を生じさせる。
上で導出した、積を和(差)に変換する公式をみよう。これを逆に適用すれば、和(差)から積を導くこともできるはずなのだが、いくぶんややこしいことになっている。
ここで必要な操作は、 ,
と新しいパラメータを宣言して、これらの置換した文字について扱うようにすることである。すると
,
となり、次のように和(差)を積で表せるようになる