ユユユユユ

webエンジニアです

長い週末

金曜日の夜に、パートナーの家にはじめて誘われて遊びにいった。吉祥寺でアメリカンピザを食べ、アトレでノンカフェインの紅茶を選んで買ってから、小田急バスに乗った。ドラッグストアで歯ブラシを買った。グレープフルーツジュースの入った甘くないお酒を…

『パーフェクト・ワールド』

イーストウッドの監督作を観た。1993年。 冒頭のシークエンスは、真っ白のタンクトップを着たケヴィン・コスナーが芝生に寝そべった様子を映す。汗ばんだ右腕を頭の後ろに回して、眩しい日差しに目をつむっている。『出てこいキャスパー』のお面がかたわらに…

「専門的な技術があまり必要でないIT・ウェブサービス」

東大新聞に学生起業の記事が出ていた。タイトルは文中からの引用。 https://www.todaishimbun.org/startup_20230123/ 広い世界では、ウェブサービスの "技術" などはほとんど数えなくてもよいものだという態度がおかれていることがよい。これはある種類のひ…

ワイルドファイア展

上野の国立科学博物館にワイルドファイア展をみにいった。 火災によって物質が破壊されるというのを悲劇的におもわせるのではなく、むしろ森が火によって変成を被ることでかえって長く残るようにもなりうるという視座の回転を手に入れた。地球上のどこかでは…

小石川植物園

すこし前の話だけれど、1月8日に小石川植物園を訪れた。いい天気で、すでに花開いている梅の木があった。ミツマタの小さな木におもしろいつぼみがついているのをみた。野鳥がいたるところで鳴いていた。 自動販売機でさつまいもスープの缶を飲んだ。すこし甘…

『ディーバ』

ジャン=ジャック・ベネックスの第一作を新文芸坐に観にいった。 性的倒錯を美化して描いているようで、たいへん居心地が悪かった。ジュールズのいくつもの狂った犯罪をすべて受けとめることがシンシアの存在意義になっていて、ご都合主義の脚本もいいところ…

『アメリカ合衆国ハーラン郡』

ケンタッキー州ハーラン郡での、鉱山労働者によるストライキを記録したドキュメンタリー。 冒頭のシークエンスは、暗い鉱山のなかではたらく労働者たちを記録する。真っ黒の塵が充満する環境で肉体を酷使する労働者たち。その塵は彼らの肺をむしばんで、命を…

『ゲット・アウト』

ジョーダン・ピール監督の評判高いデビュー作を観た。2017年の作品。 ホラー映画と聞くのでおそるおそる観はじめたのだけれど、あんがい恐怖とは遠い印象が続いた。しかし得体の知れない違和感、いやらしさ、居心地の悪さはたたみかけられる。 年嵩のひとび…

『激突!』

スピルバーグの駆け出し時代の作品を観た。不条理と被害妄想が重なり合うさまを描いて、アメリカらしい物語であると感じた。 ほとんど全編がたったひとりのカーチェイスに費やされていて、スクリーンに二人以上の人物が映るシーンはごく少なく切り詰められて…

Between the World and Me by Ta-Nehisi Coates

荻窪に住んでいたとき、ある日曜日にひさしぶりに書店にいく時間ができて、そこでみつけて買ったのだとおもう。あまり読めずに実家の書架に挿していたものを、年末年始の休暇に読んだ。 アメリカ合衆国の住人が、黒人差別を嘆いたり、そんなものは存在しない…

『コマンドー』

シュワルツェネッガーの『コマンドー』で、景気よく新春の映画初めをした。 素晴らしい肉体が自動ライフルの反動で揺れるのを、シュワルツェネッガー世代ドンピシャの母ともども楽しくみた。一瞬たりとも目が離せないというのを、サスペンスとは真逆の意味で…

2023年の願望: やっぱり Starfield をやること

Starfield をプレイすることだけを去年の年初に主張していた。これは発売延期になって、未達成。で、今年も同じ願望を継続することにする。 仕事のうえでは、関数型言語を業務でつかうようにしたいというくらいのほのかな望みはあるけれど、モチベーションが…

2022年はこんな映画をみた

劇場で観たものでよかったものを選び出すとこうなる。正しく順序付けようというほどに考えてはいなく、なんとなく記憶に残るものを上においておく。 『偶然と想像』 - ユユユユユ 『グリード (1924)』 - ユユユユユ 『コーダ あいのうた』 - ユユユユユ 『トップガン マーヴ…

2022年はこんな本を読んだ

なにかを思い出したかのように唐突に、英語で人文書を読みだしたのはいいことだった。とりわけ Light in August をじっくり読み返せたのはよかったなあ。 Modernism: A very short introduction - ユユユユユ Mrs. Dalloway by Virginia Woolf - ユユユユユ The Sound …

History: A Very Short Introduction

Oxford University Press によるシリーズより、歴史学の簡明な入門書を読んだ。 「歴史とはなにか?」と問うのはなかなかやりづらい。どんな回答に納得できるのか、自分自身でもよくわかっていない。まして歴史の専門家であれば、その回答がいわばアイデンテ…

鎌倉殿の13人、ギブアップ!

全48話中44話まで観た。もうすこしでフィナーレなのだけれど、おもしろくなくなってしまったので、来年に持ち越すことはせずにおしまいにすることにした。 源実朝が右大臣に叙されて、鶴岡八幡宮に参詣する。その雪の日の惨劇をいざ迎えようというところまで…

インコに噛まれた

右の人差し指の第一関節のあたりにガシッとくちばしで食いつかれた。 爪の根元あたり。手先が冷えていたのではじめは傷がついただけにみえたが、やがて出血もした。 あんがい血管が密集しているらしい。このようなところに傷をつくるのはめったにないことで…

石黒正数の『外天楼』を読んだ

石黒正数の『外天楼』を読んだ。コミック好きの同僚らがこの作家に言及しているのを聞いて、短編集の装いをしているこれをひとつ読んでみることにしたのだった。 舞台背景の情報を短い挿話に書き込んで、本筋からの逸脱も群像劇にちりばめながら、最後にはひ…

速度と加速度

TIL

速度から変位を求めることと、加速度から速度変化を求めることは相似をなしている。 初期位置 が与えられていれば、任意の時刻 での位置は速度 からこう求まる。 速度の初期値 が与えられていれば、任意の時刻 での速度は加速度 からこう求まる。 特に が定…

仕事納め (2022)

きょうで仕事はおわり。ぼんやりしたいちねんだった。 4月に GitHub の求人をたまたまみつけた。「あ、受けたい」とおもった。はじめて書く英文レジュメを Amazon のロンドンオフィスで働く友達に添削してもらった。そのレジュメはそこから回し読みされて、…

駿台文庫の『新・物理入門』

ものしりの友達が教えてくれて、しばらく興味をもちながら手に入れていなかった物理の参考書を買った。 駿台文庫の『新・物理入門』は、高校物理の上級者向けの参考書とされている。しかしそれは端的に難解であるというのではなさそうにみえる。一般の教科書…

ひろい家にたったひとり

クリスマスの週末が開けた月曜日に帰省した。 地域のおおきなテニス大会に妹が出場することになった。それに付き添って母も家を空けることが必要になった。誰もいなくなった実家でインコの面倒をみる人頭として帰省を促された。大学生の弟でもアルバイトの妹…

二日間のクリスマスパーティ

この年のクリスマスは週末に重なっていた。この2ヶ月で急激に仲の縮まった大切な友達とふたりで過ごした。 土曜日の午後に荻窪で落ち合った。タウンセブンの魚屋で鯛の切り身をふたつ買った。お肉ではなくて魚を食べようとあらかじめ決めていたのだった。 都…

大阪旅行 二日目

最後には大阪から東京までレンタカーで帰ることになった。終わってみればそれに尽きるといって不足ない旅行だった。 朝は堺筋線で日本橋から恵美須町へ。喫茶「いずみ」でモーニング。おいしいハムトースト。続いて新世界の「ぎふや」で煮玉子の串カツなど。…

大阪旅行 一日目

週末に大阪にあそびにいった。 羽田から JAL に乗った。歴史学の導入をはかる薄い英書を読んで空の時間を過ごした。伊丹空港から梅田まで向かった。たぶん新幹線のほうが早かったとおもう。前日入りしていた友人と合流。ひとの波。粉ものの店があんがい見つ…

『ゾンビ』

ジョージ・A・ロメロとダリオ・アルジェントの『ゾンビ』を観た。 学生時代に残酷映画の製作と啓蒙をしていた友人がこれの大ファンだった。彼ともっとも仲のよかったころは、どうしてか観賞していなかった。サウンドトラックの生演奏イベントがあるといって…

『ホワイト・ノイズ』を観た

ドン・デリーロの『ホワイト・ノイズ』が映画化されたというのでたのしみに観にいった。アップリンク吉祥寺にて。 大量のモチーフがほとんど生のまま動員されて、とっちらかったままに幕引きとなった。というと散漫を否定するものいいのようになるが、そうで…

『フルートベール駅で』

ライアン・クーグラー監督の第一作にしてマイケル・B・ジョーダンの出世作でもあるすぐれた映画をみた。 22歳のオスカー・グラント青年が現実に銃撃される瞬間の、携帯電話のカメラのフッテージが冒頭に挿入される。その生々しい暴力を提示したうえで、劇は…

『クリード 炎の宿敵』

『クリード チャンプを継ぐ男』に続けてシリーズの第二作を観た。 公開時に劇場で観た記憶がある。そのときにはじゅうぶん楽しめたようにもおもう。しかしあらためてみるとしょうしょうメロドラマ的にすぎる印象が勝った。家族、親子、結婚、出産。これらの…

大崎清夏さんの『目をあけてごらん、離陸するから』

詩人の大崎清夏さんの新刊をジュンク堂の池袋店でみつけた。あとからみると、その日がちょうど発行日だった。万年筆のサインと「よい飛行を」というメッセージがはいってある。 文庫本よりもすこし縦長の形態をしていて、表紙を脱がすと水彩画のしたにローマ…